lundi 9 mai 2011

オディロン・ルドンの世界に浸る



素晴らしい日が続いている。夏の気配を感じながら、オディロン・ルドン (1840-1916) の展覧会へ。久しぶりのグラン・パレだ。会場は落ち着いた雰囲気で、結構人が入っている。いくつか発見があった。

一つは、最初は有名な黒のリトグラフの世界が続くが、おそらく60歳を迎えるあたりから急に色彩豊かになったこと。これは全く知らなかった世界になる。彼の人生を見渡すと、二つの異なる人生を歩んでいたように見える。活動的な若き日は夢や想像から生れた黒を基調にした抽象の世界、精神・観念の世界にどっぷりと浸かっていた。それが還暦を迎えるあたりから総天然色で具象の世界を描く健康なものに変わってきたことがわかる。その時期の彼の言葉は、色と結婚したのでもう元には戻れないというもの。ドムシー城 (Château de Domecy) の食堂の装飾画などは生命の躍動さえ感じる明るさがあり、素晴らしい。他にも初めての絵が次から次に現れ、気分が高揚するのを感じていた。

もう一つ挙げるとすれば、彼が文章家だったことだろうか。他人の精神に働きかけるのが本質である文章を書くという作業は、人間が成し得る最も高貴で、最も繊細なことであると彼は考えていた。ボルドーでの少年時代は臆病で社交性に乏しく、リセに入ると勉強から遠ざかり芸術にのめり込んでいった。作家を目指していた可能性もあり、書く作業は一生を通じて続けていたという。会場にはいくつか印象に残る言葉があった。





「父が私によく言ったものです。『この雲をごらん。変化する形をわたしのように見分けられるか』。そして、父は変わりやすい空に不思議で妄想を呼び起こす奇怪なものが現れるのをわたしに見せてくれたのです」

「すべては無意識の世界に素直に従うことによって生れます」

「わたしはわたし自身に従って芸術をやってきました。目に見える世界の素晴らしさに心の目を開いて、自然界と生命の法則に従うという配慮を常にしながらやってきました。また、わたしを美の崇拝へと導いてくれた何人かの師への愛を持ちながら芸術をやってきたのです」

また、次男の Arï Redon さん(長男は半年で亡くなっている)の言葉から、晩年の日常が浮かび上がってきた。

「ビエーブル(Bièvres)では、父は朝早く起き、公園の奥でお気に入りの作家のパスカルやモンテーニュ、アンドレ・シュアレス(André Suarès)、レミ・ド・グールモン(Remy de Gourmont)などを少し読んでから一日を始めるのが気に入っていました。その間、母は父のモデルである大きな花瓶の準備を細心の注意と愛情を以ってやっていました」




À soi-même: Journal, 1867-1915 : notes sur la vie, l'art et les artistes
Nouvelles et contes fantastiques
Baudelaire, Poe, Mallarmé, Flaubert : Interprétations par Odilon Redon

会場を出てブティックに入ると、上の本が目に付いた。作家としてのルドンに興味が湧いたのだろう。この中から真ん中の一冊を手に入れ、公園に出てその世界に浸っていた。


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mardi 7 juin 2011

この展覧会については3月24日のル・モンドで読んでいたことを思い出した。
研究所のビブリオテークにて。






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