mardi 29 novembre 2011

哲学から科学者への語りかけ



本日、免疫学会でのお話を終えた。免疫学と直接関係はしないが、どこかで繋がる可能性のある関連分野の一つとして2年前から哲学が選ばれている。他の学会について調べたことがないので印象にしか過ぎないが、このような時間があるということを聞いたことがない。その講師として適任かどうか甚だ疑わしいが、科学を支える土台に目をやろうとするオーガナイザーの炯眼に敬意を表したい。

今回も発表寸前までスライドに手を加えるという危い状態であったが、それ故これまでにないほど新鮮な気分で話を進めることができた。座長だった学会長でもある千葉大学の徳久先生が先週開いた「科学から人間を考える」試みについても触れられたので、わたしの方からも少しだけ紹介させていただいた。

今日のお話は科学と周辺領域(哲学、社会)とのあるべき関係について考えた後、生物を全体として理解するとはどういうことなのか、そのためにシステムをどのように解析するのが理想的なのかなどを中心に、主に歴史的な視点から振り返るというもので、大きなテーマである。その入口に立つ、とでも言うべき話になった。話の途中に笑い声が漏れるなど、日本の学会では珍しい雰囲気を感じ、最後まで気持ち良くお話をさせていただいた。

発表の後に来られた方との会話の中で、科学という営みの本質やその哲学と歴史を理解したいという渇望とその時間が取れないもどかしさ、日常に追われ目の前の事象に対応するだけの研究生活に対する疑問などが拡がっていることを感じた。また、わたしの話する姿を見て、随分楽しそうにやっているので肖りたいという思い掛けない感想を伝えてくれる若手や 「科学から人間を考える」 試みに参加したいという方までおられ、いつものように予想もしないものが飛び出す会になった。このような発表の機会が与えられたことに改めて感謝したい。




夜は、ゥン十年前に初めてお会いした方とのディネとなった。今回の滞在の「仕事」が終わったという感覚があり、久し振りにゆったりした気分でお話ができた。




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