lundi 6 février 2012

想像羽ばたく発見、たとえ悪戯だとしても


志賀潔著
「パウル・エールリッヒ ― その生涯と業績」
冨山房、昭和28年)


昨日のこと。寒いので外出する気にもならず、ぼんやりと日本語の本を手に取った。数年前、日本の本棚から持ってきた吉村昭著「日本医家伝」(講談社、1971: 680円)である。最後にあった「秦佐八郎」を読む。秦佐八郎博士(1873-1938)と言えば、パウル・エールリッヒ博士(1854-1915)と共に梅毒の特効薬サルバルサン606号を見付けたことを知っているくらいだったので、少しだけ肉付けされたように感じる。

読むうちに、数年前に古本屋で手に入れたエールリッヒ博士の助手をしていたマルタ・マルクワルトさんが書いた「エールリッヒ博士の思ひ出」(白水社、昭和18年: 一圓八十銭)のことを思い出す。その中に、秦博士の写真とエッセイがあったからだ。と同時に、同じ古本屋で見つけた「パウル・エールリッヒ ― その生涯と業績」 (冨山房、昭和28年: 280円) という志賀潔博士 (1871-1957) が書いた本のことも思い出したのだ(因みに、この本はネットで読むことができる)。早速取り出して表紙を捲ると、こんな書き込みがある。




手に入れた当時も書き込みには気付いていたが、いつものようにそのままにしておいた。そして今回、暇にまかせてじっくりと見直してみた。まず、この本を贈られた岡小天という方(1907-1990)は、同姓同名の方でなければ、シュレディンガーさん(1887-1961)の名著「生命とは何か」を鎮目恭夫氏(1925-2011)とともに訳されたことで知られている。ただ、贈り主の方は聞いたことがないので最初に見た時にはそのままにしたのかもしれない、などと思いながら検索してみると、面白いことがわかってきた。

志賀潔氏は貴洋史とも名乗っていて、潔よりは気に入っていたとの記述がある。日付から年齢を計算すると間違っていない。それだけではなく、この名前と年齢を添えて記帳しているところもあるという。急に真実味が増し、興奮してくる。将来、志賀貴洋史という署名を見る機会があれば、じっくりと比較をしてみたいものである。それにしても、贈呈された本をこのように古本屋に売りに出すものだろうか。あるいは、好事家の悪戯なのか。そうだとしてもこんな粋な悪戯ならば歓迎である。いろいろな想いが巡る日曜の夜となった。





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