jeudi 28 juin 2012

歴史家としてのハーバート・フーヴァー大統領


とにかく、暑い
連日30℃を超えているのではないだろうか
だるくなり、眠くなり、やる気がなくなる
こういう時は、受け身に限る
ということで、今朝はこのビデオを眺める

アメリカの第31代大統領ハーバート・フーヴァーさん (Herbert Hoover, 1874-1964)
その政治人生と著作について語られている
話をされているのはジョージ・ナッシュ(George H. Nash, 1945-) という歴史家
最近、フーヴァーさんの最後のメモワールを編集して出版された方になる
「裏切られた自由」
この仕事はフーヴァーさんの人生を賭けて成し遂げた最大の傑作だとご本人も考えていた

Freedom Betrayed:
Herbert Hoover's Secret History of the Second World War and Its Aftermath
Editor: George H. Nash
(Hoover Institution Press, 2011)

再選を目指した選挙でフランクリン・ルーズベルトさん(FDR, 1882-1945)に大差で敗れ、1933年に大統領を辞する
1940年には再度の大統領を目指したようだが成らず、その後も大きな仕事に就くことにはならなかった
それからは歴史家としてメモワールを書き始める

50年代に最初のメモワールを出版
最後はニューヨークのウォルドーフ・タワーズの31A室に住み、執筆に明け暮れた
紹介されている80歳代の日課は、こんな具合だ
毎朝5時半に起き、午後6時まで食事の時間以外は書き続けたという
夜10時に寝たかと思うと、午前2時には起きスープを飲み、1時間ほど手紙などをしたためる

そして、最後の傑作の出版を残して 90歳で亡くなっている
だが、85歳からの5年間で7冊の本を出しているという
最後まで失われなかった明晰さと大変なスタミナの証だろう
100歳で亡くなった生物学のエルンスト・マイヤーさん(Ernst Mayr, 1904–2005)を思い出させる

 エルンスト・マイヤー ERNST MAYR (2007-04-27)


この本は何度も書き直され、あとは事実の確認を助手に頼むだけになっていたという
その後、フーヴァー財団に保管され、半世紀の間眠っていたことになる
偉大な政治家の辛辣な言葉が早い時期に公表される影響が大きいと判断した結果のようである

フーヴァーさんの考えはルーズベルトさんとは随分と違った
不倶戴天の敵と言ってもよいだろう
それまでと大きく異なる外交政策を国民の同意なしに進めることに異議を唱える
それは違憲であり、危険であり、詐欺まがいのやり方だと考えたからである
この本の巻末にも収められているというフーヴァーさんが指摘するルーズベルトの19の重大な誤り

日本に関係したところでは、以下の3つがある
近衛文麿首相(1891-1945)から出された戦争回避の会談要請を拒否したこと
最後には全面禁輸にして日本を追い詰めたこと
そして、原爆投下を決断した非人間性

戦争だけは避けたいと思っていたフーヴァーさんは禁輸政策に反対する
普通の国であれば窮鼠猫を噛む状態になるだろうと考えたからである
そして、事実そうなった
ルーズベルトは戦争を求めていた、とまで書いているという

わたしの中では未だ闇の中にある日本を巻き込んだ近・現代史
見る角度によりガラッと様相が変わってきそうで、興味深い
 いつの日か、この領域にも踏み込んでみたいものである




このビデオを観ながら思い出したことがある
フーヴァー大統領の生家は、アイオワ州アイオワシティの郊外にある
もう15-6年前になるだろうか
共同研究で訪れたアイオワ大学のギャリー・コレツキーさんに生家の前まで案内していただいたことがある
本当に質素な家であった
日本ではあまりポピュラーではない大統領だったので、当時はほとんど興味を示すことはなかった
しかし、こんな形で蘇ってこようとは
この道行きはなかなか面白い

大統領の生家の他、資料館、墓などもあり、公園になっているようだ
案内はこちらから





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