lundi 27 août 2012

ジョン・サールさんのフランス



このところ寒いくらいの日もあったが、今日は晴れて日差しも強い

これまでの入道雲からいわし雲に変わりつつある

バルコンでのひと時、猛暑の間に観たお話が蘇ってきた

話の主はカリフォルニア大学バークレー校の哲学者、ジョン・サールさんJohn Searle, 1932-)

御年80、バークレーに勤続50年

50年を記念したシンポジウムの様子も観ることになった

いろいろなことを考えさせられたが、今日はフランス文化について少しだけ

 普段は半分夢見心地だが、アングロ・サクソンからのコメントを聞くと目が覚める

 現実に戻されるのである

若い頃から言葉がしっかりしていて歯に衣着せぬところがあり、率直な人柄が透けて見える

60年代のFree Speech Movement にも関わっている (ご自身による総括はこちらから)

言葉の勢いや確かさは、80歳の今も健在である


彼は明晰な文章を書くことをモットーにしているという

それこそ哲学の第一歩かもしれない

その目から見ると、ミシェル・フーコーなどのフランスの哲学者の文章は悪文に見えるようだ

ついでに、フーコーの英語は酷いとまで付け加えている

英語ができないのは劣等人種、という偏見があるのではないかとさえ思える発言である

 なぜ訳の分からない文章を書くのかとフーコー本人に訊いたという

フランス語で (英語訛りの強い)

フーコーさんの答えは、10%くらい理解できないようなものがないとパリでは真面目に受け入れてもらえないから

同じ質問をコレージュ・ド・フランスに招かれた時、ピエール・ブルデューさんPierre Bourdieu, 1930-2002) にも向けた

その時の答えは、10%でなく20%だったと冗談めかして語っている

彼の話ぶりから、フランス、広く言うと大陸の哲学は参考にする程度で、視野に入っていないのではないかとの疑念が湧く

これまでも感じている隔離された特別の場所というイメージである

少ない経験だが、この分野の国際学会などでもフランス人同士で固まる傾向があるような印象がある


サールさんはヨーロッパの大学でも講義をした経験から大学生の気質の違いも指摘している

それは、ヨーロッパの学生は言葉の問題もあるのだろうが、積極的に質問することがない

ただ、ドイツの経験では、促されると積極的になるという

そのような文化がないだけで、訓練によって変わり得るということになるのか

世界で最高の学生がいるのは、ここバークレーだと言っている


サールさんは若い頃オックスフォード大学で7年ほど研究した後、アメリカに帰る決断をする

その時、同僚がこう訊いてきたという

アメリカに帰って一体誰と哲学の話をするのですか?

このエピソードを語るサールさんは、半世紀後のアメリカの状態を誇りに思っているように見えた






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